久し振りに刺さった小説があったので、読んでから日はだいぶ経ってしまったが紹介したい。

今回(次回がある保証は無い)紹介する小説は「アスク・ミー・ホワイ」
筆者は古市憲寿氏。


(本ブログには大して関係ないがBeatlesの同タイトル曲を貼っておく。)

☆あらすじ
当時の彼女に誘われアムステルダムに移住してきた青年ヤマト。
彼女と別れた後もアムステルダムに残り日本料理屋で働いている。
ある日ヤマトは友達の繋がりでスキャンダルで芸能界を去った元俳優の港 颯真と出会う。
交流を重ねるうちに港に惹かれていくヤマトであるが、その気持ちが友情なのか恋心なのか分からない。
同性愛者である港と異性愛者であるヤマトとの人間模様を描くヒューマンストーリー。



・今の時代だからこそ、刺さる
コロナ禍で遠くの人に会いたくともなかなか会いにくい社会になっている今日。
そんな今の時代だからこそ描かれた話だと感じた。
別れるためには出会わないといけない。
精神的にも物理的にも。
そんな“人と出会う”こと、出会いを重要視した作品だ。

出会った当初は港のことをよく知らない、くすんだレンズ越しに見ているような、低い解像度であるが、同じ時間を過ごせば過ごすほど港のことを知ることになる。
知っていく中でヤマトが港へ向けて芽生える感情。
それが友情なのか愛情なのか。それともそれは同義なのか?
同性愛者がマイノリティとなる設定のBL作品では必ず提起される問題。
それがこの作品では主人公であるヤマト目線で描かれる。

・BL初心者もBL上級者(?)も楽しんで読める
便宜上BL小説と言うが、BL小説として押し出されているわけではない。
BL抜きにでも十分ヒューマンストーリーとして楽しめる。
性描写は勿論あるのだが、よく少女漫画系譜のBL小説にある婉曲表現と言うものは殆ど無い。
言葉がズバリ真っ直ぐ。
筆者がBL小説作家ではない(そもそも本業は社会学者だ)のもあるが、ここまで率直に濡れ場が描かれている小説はBL小説では寧ろ珍しいのでは、と思う(私自身そこまでBL小説を読んできたわけでは無いので個人的な感覚でしか無いが)
所謂BL小説を読んできたBL小説慣れてますよという人でも新鮮な気持ちで読めるのではないだろうか?
保証はしないけども…(責任放棄)

あと、これは筆者の文の癖だろうが、時折「これ時事ネタに絡ませたブラックジョークだろうなぁ」と思えるものもあり、ブラックジョーク好き的にはクスッとくる。
社会学者が故の視点もあって面白い。
けどこれは好みが分かれるかな~。
私は好きでした。

・シンプルに読みやすい
これ。
本読むの苦手な人の本苦手ポイント「分厚い」「字が小さい」をクリアしてる。
私も本読むの苦手だったのでよくわかる。なんなら今でも得意ではない。
分厚いのは読む前から心折れるし字が小さいと1P開いてから心が折れる。
しかしこの作品は字はそれなりにデカイし、その字の大きさで264ページとそこまで長いわけでは無い。
物理的な読みやすさという点でもこの作品はおすすめできる。

…本のレビューでそこ言う?
言います…このブログでは…。


この辺りの理由から私は小説「アスク・ミー・ホワイ」をおすすめしたい。
これを読んでちょっとでも気になった方はTwitterで筆者が小説を上げているのでちょろっと読んでみてはいかがだろうか。
https://mobile.twitter.com/poe1985/status/1251505271030943748

アスク・ミー・ホワイ【電子書籍】[ 古市憲寿 ]
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